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2017年3月4日土曜日

YAPC::Kansai 2017 OSAKAへ行った & LTでぶろるっくの紹介をしてきました

YAPC::Kansai 2017 OSAKAへ行って来ました。

以下のセッションを聞いてきました。

深沢 千尋氏「実録!『すぐわかるPerl』」

社内ツール作成担当から、どのようにしてPerlに関わることになったか、という話。
「わかる~👉👉」という感じだった。

risou氏「高速化の初歩」

高速化をするときの注目箇所と、やらなくて良いことの見極めが大事。

Yappo氏「Elasticsearch で作る ranking system のスヽメ」

キャッシュというと、どうしてもredisに頼っちゃうよね、と。
でもElasticsearchでも出来るよって話。

moznion氏「Webアプリケーションのキャッシュ戦略とそのパターン」

アプリケーションキャッシュに重点を絞って、どのような方法が取り得るかという話。

木本裕紀氏「MojoliciousとWebSocketsでサーバーpush配信」

WebSocketsの話は、まあよく見るサンプルという感じだったけど、その前の古い文字コードや言語混じりの旧設計システムを置き換える話が面白かった。

小飼弾氏「スペシャルセッション mail_form.cgi reborn」

面白かったです。ベテランと言えども、追い立てられると簡単なミスをしてしまうんだなぁということが分かって、なんだか安心(?)しました。

meru_akimbo氏「TRUNCATE user;に如何にして立ち向かうか」

定期バッチでのバックアップは処理量が増えてくると、定期で終わらないよね、と。
binlogを使って、PostgreSQLで言うWALとPITRみたいなことをするという話。

motemen氏「はてなシステムの考古学」

はてなが古代から進化するに当たって、どのような思想でサービスを作ってきたかという話。

あと、LTでぶろるっくの紹介をしてきました。

スライドの最後にもあるように、人は万人とは分かり合えないので、言語戦争とか、エディタ戦争とか、コーディングスタイル戦争とかはやめよう。

2017年2月13日月曜日

ぶろるっく 最近のブロック集計 2017年2月


下限上限人数
14200000 1
14000000 14199999 1
8300000 8399999 1
7900000 7999999 1
7800000 7899999 1
6900000 6999999 1
2300000 2399999 1
1800000 1899999 1
1400000 1499999 27
1300000 1399999 2
1100000 1299999 1
900000 999999 1
700000 799999 2
500000 699999 5
400000 499999 6
300000 399999 9
200000 299999 16
100000 199999 123
90000 99999 10
80000 89999 14
70000 79999 15
60000 69999 31
50000 59999 70
40000 49999 143
30000 39999 222
20000 29999 200
10000 19999 435
9000 9999 76
8000 8999 115
7000 7999 195
6000 6999 305
5000 5999 446
4000 4999 891
3000 3999 1501
2000 2999 2452
1000 1999 6891
900 999 1539
800 899 1741
700 799 2180
600 699 2878
500 599 3629
400 499 5235
300 399 8709
200 299 16982
100 199 43042
1 99 422214
0 0 160486
合計682847
昨年2016年1月26日に公開した拙作「ぶろるっく」。前回の集計が2016年9月でしたので、5か月ほど間が空きました。
きちんと、定期的に件数を集計したり、毎日の延び具合とかを記録しておけばよかったんですが、最初はどのくらい集まるか分からず、とりあえず公開という流れからズルズルと来ています。
いつも通りに右の表は、ブロック数です。

集計タイミングは2017年2月13日 19時
登録アカウント数 68万2847件

ブロックした件数の平均値は452、中央値は18でした。
被ブロック件数の平均値は23、中央値は6でした。

手作業でブロックしていると2000件ぐらいが限界かなと思いますが、数万件以上ブロックしているのはどんなツールなんでしょう。気になります。
また、そのアカウントのタイムラインはどんな感じなんでしょうね。

あと自動的にデータを取り直して最新状態を保つようにしていますので、よろしければアプリ連携を残しておいてもらえると嬉しいです。
アプリ連携を解除された方のデータは、自動取得のタイミングでデータを消しています。

アプリのアイコンも設定しました!オリジナル感を出したかったので、頑張ってGIMPで作りました。

ぶろるっくは上の画像にもあるように、「読取専用」となっています。
意図しないツイートは、Twitterの仕様で不可能です。

似たようなアプリで、スパムツイートをされてしまうものがあるようですが、ツイートを検索してみると全員同じ数字なので診断メーカーとかで作った方がまだマシそうです。
こういうことを書くと、人数がランダムになるパワーアップとかされちゃうんでしょうけど。

色々見比べていると、2015年から存在するシステムっぽいですね。
そういうパッケージなのか、同じ人が運営しているのか。

2016年12月19日月曜日

スパイスガールズ

Krile Advent Calendar 2016の19日目です。

スパイスガールズ
再び大沢やよい氏の短編集ですが、氏の描かれる作品は片方が巻き込まれ系というか、振り回されるというか、いつの間にか・・・あれ?という感じが良いですね。
  • スパイスガールズ
  • 水色メソッド
  • 先生、卒業。-前編-
  • 先生、卒業。-後編-
  • 隣のお嫁さん
の五話が収録されています。
前回紹介した「屋上ぴかぴかロマンス」を読んだ時点では、まだこの作品を読んでいなかったのですが、屋上ぴかぴかロマンスに収録されていた「in secret...?」の続編として、「先生、卒業。」の前後編二編が入っていました。
「in secret...?」ではそれぞれの関係が触りだけでしか匂わされなかったので、この話で落ち着いた感がでて、ぐっと良くなりました。なのでこの「スパイスガールズ」も紹介しておきたかったのです。

タイトルにもなっているスパイスガールズですが、クールビューティー系変態さんとか出てきて楽しかったです。
どの作品も、この先まだまだ色々あるんだろうなと、想像力が働かされる終わり方が良いですね。悶々とします。

2016年12月13日火曜日

屋上ぴかぴかロマンス

Krile Advent Calendar 2016の13日目です。

屋上ぴかぴかロマンス
短編集です。
昨日のNTTrf氏も書かれていましたが、短編集はいろいろなパターンが読めてお得感がありますね。
  • 恋心メトロノーム
  • わがままファズとぴかぴかさん
  • ダブルバインド
  • in secret...?
  • 恋色エチュード
の五話が収録されています。
個人的に良かったのが「恋心メトロノーム」とその続編に当たる「恋色エチュード」。吹奏楽部員の話なのですが、今ちょうどアニメが放送されている「響け!ユーフォニアム2」の影響があるかもしれません。
ツン気味の石橋さんが最高でした。もっと見たい。
どちらかというと萌えの要素が強いのかもしれません。

2016年12月12日月曜日

The Talos Principle(Steam & PC Gaming Advent Calendar 2016)

Steam & PC Gaming Advent Calendar 2016の12日目です。

紹介するのは、「The Talos Principle」というゲームです。
リリース日が2014年12月12日。ちょうど二年前の今日です。

The Talos Principleは独特の世界観を持つパズルゲームです。
ゲームを開始すると庭園のような場所に放り出され、どこからともなく聞こえてくる声に導かれつつ謎を解いていくことになります。
使用するアイテムがいくつか出てきますが、最初のうちは種類も少なく簡単に解けるものが多いです。
レーザー光線を中継するポール、スイッチの上に置いたり登ったりできるブロック、バリアを解除できるジャマーなど。
それらのアイテムを駆使することになりますが、このゲームではクリア不可能状態に陥ることがほぼありません。大抵は何かのミスに気が付いた時点で、直前の動作から見直していけばリカバリすることが可能です。
時間制限もないので、焦ってクリアする必要もありません。若干テンポの良い操作が要求される場面がありますが、シビアな要求はされないので、だいたいはじっくり考えればクリアできます。
クリアできたときの爽快感が気持ちいいです。

はじめに独特の世界観と書きましたが、宗教や生命とはという問いかけが散りばめられています。
ただしこれらは、この庭園に設置されているコンピュータにアクセスしたときしか関係してこないので、無視して進めることも可能です。多分まともに相手をするとイラッと来る場面もあったりします。

そして自分は何者なのか・・・と言うことを考えながらプレイすると面白いのですが、ストアページで思いっきりネタバレされているので、そのへんはまあご愛敬。視点を切り替えたりしてもバレちゃますし。
ステージ数がかなりあるので、しっかりと時間を取って取りかかるか、毎日少しずつ進めていくのが良いかと思います。
3Dなので、マシンの速度が遅いと3D酔いするかもしれません。わたしの場合はウィンドウモードにして画面サイズより一回り小さいウィンドウにすれば大丈夫でした。

2016年12月9日金曜日

ロケット☆ガール

Krile Advent Calendar 2016の9日目です。
Krileはkarnoさんが作られたWindows向けTwitterクライアントです。
ソースも公開されているので、おかしなところが有ったり気に入らないところがあれば手を入れられる強みがありますね。これはオープンソース全体に言えることですが。

しかしここ数年、わたしは仕事で全くWindowsにタッチしていないので、.Netを使ったプログラムから遠ざかってしまっています。頭に残っているのは.Net 2.0とかの知識です。
Krileの新しいバージョンの開発も進んでいる?ようなので、プラグインとかで盛り上げて行けたら良いなとか考えています。


書くことがなくなってしまいました。作者のkarnoさんは百合が好きなようですので、百合漫画を紹介してみたいと思います。


ロケット☆ガール -Rock it, GiRL!!-
全2巻ですので、気軽に読めるかと思います。
現在Amazonのkindle Unlimitedで2冊とも読み放題なので、会員になっている方は是非。
女の子四人のバンドの話なのですが、メインはそのうちギターとボーカル二人の話です。

ストリートミュージシャンとして、ギターで弾き語りをしている奏。
そこへ突然現れた金髪の少女から「へたくそ」と一蹴されてしまう。
もう一人現れた女性に声を掛けられ連れて行かれたのは芸能事務所。
事務所の社長にまで、歌詞と曲は良いけど声はクソと言われてしまう始末。
そこで出会ったのが、なんと「へたくそ」と言ってきた少女。その事務所に所属している歌手だった。
金髪少女の歌声を聞いて涙を流す奏。そしてバンドを組むことになり・・・。


あからさまなイチャイチャとかは全然ありません。
最初の出会いが最悪ですし、意見が合わないことが多くて、いつもケンカをしているような感じではあるのですが、しかし描かれ方がああーいい、いいよねって感じです。

2巻に入ると、いつの間にか大スターになっている場面から始まるのですが、バンドは最悪の状態。最後へ向かっていく感じがたまりませんでした。
軽く百合分を補給したいときに良い作品かと思います。

2016年12月8日木曜日

生徒会会長の半日(友利奈緒 Advent Calendar 2016)

友利奈緒 Advent Calendar 2016の8日目です。


月曜日。また一週間が始まる。
昨日は兄の見舞いに行ってきたが、何も進展はなかった。
能力の発現時期が過ぎれば、消え去った能力と引き替えに失われたものが戻ってきたりはしないかと期待した日々もあった。しかし医者の話では、そういうことはまず考えられないだろうとのことだった。組織による解決方法の研究も進んでいるようだが、それはあくまで能力の発現を止める方法であり、手遅れとなった人間のものではない。
脳に障害を受けて何十年と植物状態だった人間が、意識を取り戻す話を聞いたことがある。その人達も、脳細胞を何十年と掛けて再生させ帰ってきたのだ。きっと兄にもそれはできると思っているが、障害を受けた範囲がどの程度なのか、何十年というレベルで修復できるものなのか、今の医学では分からない。
わたしが生きている間に再び兄と言葉を交わせることができるのだろうか。そもそも能力の発現を止める研究もどのくらい進んでいるのか。仮に能力の発現を止める研究が完成した場合、組織はどうなるのか。今の兄の状況は維持されるのだろうか。
何も変わらない日々が続く中で、心配の種は尽きない。
「♪~」
鞄の中からメールの着信音が聞こえてくる。熊耳からの連絡だ。今日もまた能力者が現れたようだ。見つかった能力者を一人ずつ対処していく。これも変わらない日常の景色になってきた。終わりの無い日常。
いつも生徒会室に現れる少し前に連絡が来る。ここからなら、少し急げば間に合うだろう。足を速めつつ、いつも通りにメンバーへメールを送る。


生徒会室にはわたしと左手に高城、右手に黒羽さん。
ドアが開く。乙坂さんは遅刻と。
「ひっ」
メールからの時間ぴったり。黒羽さんが息を飲む。わたしもあまり慣れないが、服を着たままずぶ濡れにならないと能力者の位置が分からないという、これまた困った能力らしい。
能力者は何かのタイミングで自分の能力に気が付くわけだが、熊耳はどういうときに気が付いたのだろう。池にでも落ちたときに覚醒したのだろうか。プールでも発動するのだろうか。能力者が見つかったときに自ら水を被るのか、能力者を見つけるために常に水行をしているのか。もしかしたら、ものすごくドジで服を着たまま川にでも落ちてしまうのだろうか。しかし水が臭かったことは無いので水道水なのだろう。ふと、トイレで個室の上から水を掛けられる嫌な様子を思い浮かべる。本当にあちこち問題だらけだ。
四人が中央の地図に集まる。
「能力は・・・怠惰」
落ちた雫は自宅と学校の間ぐらいを滲ませた。


「ふぅ。まだ慣れないです」
黒羽さんが息をつく。
「しかたないです。わたしは怖がっているゆさりんも拝見できるので、どんどん怖がっていいと思いますよ」
「引くわー」
黒羽さんの芸能人としての活動、西森柚咲のファンクラブ会員でもある高城。彼女のことに関してはキモオタっぷりを発揮する。それは特殊能力ではなく、本物の能力は瞬間移動。しかしこれも一直線でしか移動できない不完全さだ。
生徒会で活動を始めた当初からのメンバー。その能力も何かと役に立っている。高城が居なければわたし一人で解決できない問題も多かっただろう。わたしの持つ能力では、暴力的な解決しかできない場面が多く、自然と周りの目も厳しくなった。そんな中、高城のサポートは大変ありがたい。
「怠惰の能力って、なんでしょう」
黒羽が同じ疑問を口にした。
「他人を怠惰にさせる能力か」
あまり使えなさそうな能力だ。一番この能力に影響されそうなメンバーの顔が浮かんだ。
「この調査は乙坂さんに担当させない方がいいでしょうね」
わたしの発言に他の二人は曖昧な笑顔を浮かべた。
「それでは乙坂さんはどうしましょう。待ちますか?」
「いつ来るか分からないし、放っておきましょう」
高城が申し訳なさそうに手を上げる。
「実はこのあと外せない用事がありまして」
ふむ。仕方が無い。まあ怠惰の能力だ。黒羽さんと二人で大丈夫だろう。
「では、二人で行きましょうか」
調査に出かけようとしたところでドアが開いた。
「わ、乙坂さん」
黒羽さんの声で遅刻者が到着した事が分かる。
「おせーよ」
「しょうがないだろ。こっちは大荷物抱えてるんだ」
「どうしたんですか?その荷物」
黒羽さんの脇から大きな段ボール箱を抱えて乙坂さんが部屋に入ってくる。
「カップラーメンが余っててな。小腹でも空いたときに食べてくれ」
「乙坂さんにしては気が利くじゃないっすか」
この活動は体力勝負なところが多い。この先いつまで活動が続くのか、どこまで資金が続くのか、いつしかこの生徒会室を最終拠点として活動を続けないといけない日が来るかもしれない。最悪ここに籠城という可能性もある。活動を続けるのに必要な資材はありがたい。
「そういえばメールが来てたが、出動か?」
「あたしと黒羽さんで行ってきます。男達は留守番な」
「おいおい、せっかく登校したのに」
いかにも不満そうな顔をする。
「生徒会の活動が無くても登校するのは当たり前だろ。それに今回の能力者を乙坂さんと会わせるわけにはいきません」
「なんだそれ。美人の能力者とかか」
ひくわー。ここの男達は本当にどうしようも無い。
「さ、行きましょう」
敢えて無視でいいだろう。黒羽さんを押して廊下へ出る。


「友利さん、調査ってわくわくしません?」
大きく手を振りながら歩く黒羽さんが聞いてきた。
少なくとも今はわくわくしていない。以前はどうだっただろうか。
「あの男の人から能力は伝えられますけど、実際にそれがどういう使われ方をしているのかとか、悪い使い方をしているのかなーとか、良い使い方をしているのかなーとか、良い使い方をしている人なら良い人かなーとか、いろいろ考えちゃうんです」
学生をしながら芸能活動もしている黒羽さんは、もしかしたらわたしよりもハードな生活を送っているかもしれない。こうして生徒会の活動も可能な限り付き合ってくれる。
わたしたちの活動は、能力者の保護だ。全ての能力者を成敗しているわけではない。良い人が良い使い方をしていたとしても、それを悪い使い方をしようと考える人も居る。
「みんながみんな、良い方向にしか使わなければいいんですがね」
黒羽さんだけでなく、わたしの希望でもある。
悪い使い方をしている能力者、悪い使われ方をしそうな能力については警告していかなくてはいけない。
「一昨日の茹でる能力も、あんなに美味しい料理ができるなんて、もったいないですよね」
「そうですねぇ。でも原理としては電子レンジと同じですから、使い方を間違えれば大惨事です」
そう、全ては使い方次第なのだ。
「お姉さんの能力だって色々な物は燃やせますが、良い使い方をしたおかげで一昨日は強力な火力が得られたわけですし」
美砂の能力、発火によって料理対決では審査員を唸らせる絶妙な火加減を実現できた。
もっとも、審査員はグルメレポート番組の経験から黒羽さんだったので、出来レースではあった。
「お姉ちゃんが褒められると嬉しいですね」
黒羽さんは自分のことのようにニコニコしていた。お姉さんはもうこの世の人ではない。どちらかというと黒羽さんとは反対の生き方をしていたので、どの程度交流があったのか分からないが、身内が評価されるのはやはり嬉しいものだろう。兄とのやり取りを思い出しながら、そんなことを考えた。
「♪~」
熊耳からの連絡だ。既に調査へ出発しているのに、さらに能力者が見つかったのか。今から戻るのは面倒だ。
「乙坂さんに頼むか」
「また能力者ですか? 多いですね」
「大忙しですよ」
メールを送ってカメラを構え直す。そろそろ目標の場所だ。


「猫ですね」
「猫ですね」
お互いに確認し合う。
住宅街の道の中央で太陽の光を浴びた茶トラ模様の猫が寝転がっている。起きてはいるようだ。
「気持ちよさそうですねー。でもこんなど真ん中にいたら車にひかれちゃいますよ」
黒羽さんが道の端にしゃがみ込み、手招きをする。ファインダー越しの猫はそれを一瞥しただけで、再び横になった。
「だめですね」
猫にはアイドルの価値は分からないらしい。耳を動かして近づいて来る黒羽さんの音を追っている。
黒羽さんは再び猫のそばでしゃがんで撫で始めた。
「動きたくないのかな」
撫でるだけでは飽き足らず、両腕を持って遊び始めたが猫は頑なに身体を起こそうとはしない。
「ずいぶん怠けものの猫さんですね」
黒羽さんの言葉にはっとする。これは怠惰の能力なのでは。
「もしかして、この猫が怠惰の能力者」
「猫さんは能力『者』なんでしょうか」
黒羽さんの疑問にわたしは確実な答えを持ち合わせていない。熊耳の能力もどのくらい確実なのか、そもそも動物も特殊能力を持ちうるのか、何もかも不明だ。
「それらしい人間がいるか探してみましょう」
わたしと黒羽さんが立ち上がり歩き出すと、それまでやる気の無かった猫が一緒に立ち上がり付いてきた。どうやらアイドルに撫でられてやる気が出たのか。高城の姿と重なる。
「おや、付いてくるんですか」
猫は黒羽さんの足元をぐるぐると回り出す。
「まるで高城みたいな猫ですね」
「あはは、急に元気が出ましたね」


「と、友利さん・・・」
心配そうに黒羽さんが見つめてくる。先程から見ていたのでわたしも状況が分かっているが、一応ツッコミを入れておこうか。
「黒羽さん、いつまでも遊んでないで調査を続行しますよ」
「うわーん、友利さんがいじめる」
黒羽さんにまとわりついていた猫は、先程までよりも速度を増している。みるみる加速していく猫はカメラの走査と同じぐらいの回転になっているのか、ファインダー越しには後ろ向きに歩いているかのように見え、そのうち停止しているような映像となっていた。
特殊能力というあまりにも非現実的な事象に普段から接していると、この猫のことでさえ冷静に見てしまう。
「この猫は怠惰の能力者ではなさそうですね」
「友利さん、落ち着いてないで助けてください」
「助けると言っても」
下手に黒羽さんが動けば高速な猫と衝突して無事では済まない。もちろんわたしも同じだ。この事態の前では、不可視の能力など役に立たない。
そんなことを考えているうちに、パチパチという音が聞こえて、やがてバチバチという激しい音と共に黒羽さんから放電が始まる。
「黒羽さん!」
手を伸ばそうと試みるが、大きな稲妻が伸びて来て思わず後ずさる。
いつしか黒羽さんの髪は大きく広がり、全身からスパークが伸びている。
「友利さん!」
助けを求める手を伸ばす度に放電が起きるので、それを避ける。このままでは近づくこともできない。
「黒羽さん、ちょっと待ってください。考えます」
「なんだこれは」
ちょうどそこへ乙坂さんが現れる。更なる新しい能力者も同じ方向にいたのだろうか。
「乙坂さ~ん、助けてください」
黒羽さんは乙坂さんへも助けを求めている。そうだ、あの能力があれば。
「乙坂さん、あの猫に乗り移ってどこかへ行ってください」
「はぁ?お前なんとかできないのかよ」
「やろうとしましたけど、無理なもんは無理なんだよ」
今来た乙坂さんでは状況が分からないだろう。ゆっくりと黒羽さんに近づいてみせる。
「つっ」
先程と同じように放電が伸びてきた。
「乙坂さ~ん」
黒羽さんが乙坂さんへ手を伸ばすと放電も飛んでいる。
「痛ぇ。わかった、わかったから」
乙坂さんの目が光ると共にぐったりと前に倒れ、黒羽さんとの距離が近づいたためスパークの餌食となっている。
乙坂さんが乗り移った猫は何周かした後、砲丸投げの球のように飛び出してきた。
こちらへ!
「ばかっ、よせっ」


あまりにも猫の速度は速く避けるのは難しい。このままではわたしも放電を食らってしまうし、感電によって筋肉が収縮し動けなくなるだろう。
猫はわたしの前でジャンプをして避けようとする。しかし猫のジャンプだ。高さがしれている。わたしを飛び越えるには至らず、飛び込んでくる。そうだ、感電によって筋肉が収縮するということは、あの動きならできるはず。
腰を落としてバレーボールのレシーブ体制を取る。位置を合わせたところでスパークがわたしの腕に当たり、重ねた手が猫の腹を押し上げる。
「うっ」
猫は若干低いうめき声と共に数メートル高く舞い上がり、再び地球の重力によって落ちてくる途中、電線に強力な電気を放出した。
ポンッという音と共に、あちこちの電柱から小さい煙が上がった。猫は塀の上に着地したかと思うと、放電に驚いたのか、音に驚いたのか、走り去ってしまった。


猫が離れたことにより、黒羽さんに帯電していた電気は無くなったようだ。
「乙坂さん、起きないですね」
黒羽さんが突いているが反応しない。高城なら突かれるために気を失ったふりをするかもしれないが、乙坂さんはそういうことはしなさそうだ。
乗り移っている間のダメージは本人の意識に送られるらしく、どのタイミングまで意識が猫にあったのか分からないが、この様子だと腹に両腕でフックを決めたところまでは意識があったのだろう。
「やむを得ないとは言え、少し悪いことをしました。仕方ないです。一度連れて帰って態勢を立て直しましょう」
二人で運ぶのは少し難しそうだ。高城は用事があると言っていたが、後から回収させることができるだろうか。携帯電話を取りだして電話を掛けてみる。
「あ、高じょ」
「今日はゆさりんのライブ予約電話を一番有利になる電話局前の公衆電話からチャレンジしたのですが、それでも戦いは激しく、やっと繋がったかと思ったところで辺り一帯に放電が走り、電話機からは火が噴き出し、二度と電話が繋がることはなかったのですよ!」
「引くな!」

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