1月 17, 2013

「PLUTO」読了

かなり昔に「MONSTER」を読んだ影響から、この作品もAmazonからおすすめされていた。先に書いた20世紀少年から浦沢直樹つながりという事で。

このPLUTOの元となった鉄腕アトムの名前は聞いたことがあったけど、作品は読んだことがなかった。原作を知っている人からすると、かなり評価の高いリメイクとなっているようだ。
そのような予備知識がなくても、登場人物たちは個性的で、随分と楽しむことが出来た。ロボットが人間と一緒に暮らす世界。
事件が起きていく中で、ほんの少し先が予想でき、それが良い感じに続きが気になる仕組みになっていた。

浦沢氏はあまり長い話は描かないで、小さくコンパクトにまとめるか、別に作家さんと組んだほうがいいんじゃないのかな、なんて思ったり。

20世紀少年/21世紀少年

10巻ぐらいまで読んでいたんだけど、途中で止まったままだったので、改めて読みなおした。

後半になってくると話が長くなりすぎて、伏線があったのかどうか忘れたまま、都合のいいところで都合のいい人が出てくる感じがしてしまった。
ひと通りの話が落ち着く20世紀少年と、その回答編となる21世紀少年。
21世紀少年のラストでも、そんな人いたか?という感じで。
サスペンスではなく、ミステリーというか、謎の解きようがないので、ミステリーでも無いような。
せっかく描かれたのに、なんとももったいない作品のような気がしました。

「ほしのこえ」読了

コミック版のほう。
光でも時間がかかる距離に離れてしまった二人の間を飛び交うメール。相手に届くまで何年もかかってしまうという話。
映画の予告編だけ見たのだけど、全体を読んでみると予告編でほとんど説明されちゃってたんじゃないかと思った。

切ない話なんだけど、最後で少し救われた気がして、ハッピーエンドマニアとしては合格点。映画と小説では描かれていなかった部分らしいので、これが読めて良かった。

本編以外にコメントするのはどうかと思ったのだけど、作者があとがきで下げるのはやめてほしいなと思った。少なくともその時の最大馬力で描かれたんだろうし、これが渾身じゃないんだったら、もっと渾身の作品を読みたいなと。

あと作品の前提を崩しちゃうけど、相手の返事が届く前にどんどん送っちゃえば、毎日楽しめるんじゃないかと思ったり。そこは、ほんとの恋人じゃないからってところで説明がつくのかな。

「とらドラ!」読了

萌えの流れで、以前から気になっていたとらドラ!を読んだ。
ニコニコ動画で、アニメ版の実乃梨が「盛るぜ〜盛るぜ〜超盛るぜ〜」 と言っているシーンだけ見たことがあった。(ピンポイントすぎる)

ドタバタコメディで、アニメにしやすそうな雰囲気だった。
一巻から飛ばしまくりで、一気に読むには後半のほうになると、読むのに疲れを感じた。そのぐらいのハイテンション。
実際の発刊間隔だと、十分に楽しめると思う。

基本は竜児視点で進行していくのだが、大河が竜児を意識した過程も、大河視点でもう少し読んでみたかった。

スピンオフは脇役が主人公となる話。
それぞれのキャラが花を持たせてもらえる流れで良かったと思う。
何気なく過ごしていそうな登場人物達も、それぞれ同じ高校生なんだなと思わせてくれる話だった。
新しい学生時代を過ごしてみたくなりますね。

「ブラックジャックによろしく」/「〜2」読了

「ブラックジャックによろしく」が漫画 on Webで無料公開されたのを機に、ブラックジャックによろしく2もあわせて読んだ。

研修医という立場から、病院内でのしきたり、制度、法律などのやるせない部分に切り込んでいくという内容。
幸い、医者の世話になる機会は少なく過ごしてきたので、素人という立場からしては主人公の悩みなどがよく理解できた。主人公からの視点であるため、仕方がないとは思うのだが、その決まりを作った人たちも、それなりのプロで有っただろうし、どうしてその決まりが出来たのか、もう少し言い訳を聞きたい気もした。第三者として判断するには、意見が一方的すぎる感じがした。

そして話はブラックジャックによろしく2へと繋がっていくのだが、主人公の強さについていけなくなっていき、最後の臓器移植の話では、とうとう主人公の気持ちがさっぱり分からなくなってしまった。
結局、八方美人で、みんなからいい人だと思われたいんじゃないかなぁというも主人公への印象に変わってしまった。

そうして主人公も大きな波に飲まれてしまうのだけど、今までが強烈すぎただけに、そんな簡単に飲まれるんだろうか?という疑問と、絶対ゴタゴタを起こしているだろうという気持ちが合わさって、飛ばされた数年の部分も読んでみたいと思った。

1月 06, 2013

「中の人などいない@NHK広報のツイートはなぜユルい?」読了

@NHK_PRの中の人が宣伝していたので読んでみた。
細かいことだけど、NHK出版じゃないんだね。意外。

TwitterでのNHK_PRアカウント開設から、その運用に渡る流れを回想形式で綴ってあった。
ソーシャルネットサービス未経験の担当者が、よちよち歩きながら、ネットの文化に足を踏み出していく様が、読んでいてとても微笑ましかった。
今でこそNHK_PRのアカウントをフォローしているが、確か最初にアカウントを知ったのは、さかなクンさんの時だったと思う。
みんなに突っ込まれながら、このノリについていけるのだろうかとヒヤヒヤしていた。
ネタにネタで返す速度が速くなっている気がして、今では十分「こちら側」の人だと思う。

普段どういう想いで運用しているのか、というところは、アカウントでのやり取りを見ていてよくわかるのだが、本の内容はそれを改めて説明した感じだった。
今となっては説明されない、前半部のおろおろ具合がとても新鮮でした。

「エクセル・サーガ」読了

ハーイル、イル・パラッツォ!

この作品も長かった。
元々は専門学校の友人から面白いと聞き、読み始めた作品だった。

世界征服を企む秘密結社アクロス。しかし道は遠すぎるのでまず目指すは市街征服、といういかにもなギャグ漫画、登場人物みんなクセがあり過ぎ。
ハイテンション、ドタバタなので、一気に読むのは大変疲れる。
20巻ぐらいまでは、なんとか追いかけていたんだけど、だんだん離れてしまっていた。

細かい書き込みにボケが散りばめられており、じっくり読み込まないと、見落としてしまうところがありそうなのも、疲れる原因だったかもしれない。
話が進むにつれて、なんとなく登場人物たちの謎が想像できた。 壮大になりすぎて最終的なオチが、ちょっと弱いかなぁと思ってしまったりしたが、みんな幸せそうなので、それはそれでありかなと。
女性キャラたちのスタイルが良くて、眼福でした。行き過ぎるとしんどいなという感じで、ほどほどが良いようです。

「ヨコハマ買い出し紀行」読了

この作品も、アフタヌーンで通学時間に読んでいた作品。
途中の部分だけ読んでいて、作品の世界が気に入り、ずっと気になっていた。
この度、まとめて読みなおした。

海面上昇により人口が減った世界。
岬の先端で喫茶店を営むロボット、アルファさんとその周りの人々を描いたお話。
終始スローペースで、のんびりとした流れがとても気持ち良い。
登場するロボットは、ロボット離れした感情を持っていた。自分たちなりに考え・感じ、人が忘れてしまいそうな気持ちを思い出させてくれる気がした。

作品の中に登場する謎が、謎なままなのが少し気がかり。
しかし、それも人間には思いもつかない、または海面上昇など、人の手に負えなくなってしまった大きな流れの一部かと思うと、それほど気にならなくなってしまうのが不思議だ。
自然の流れに逆らわず、そういうもんだと思って身を任せて読むのがとても心地よい作品だった。

「狼と香辛料」読了

以前から、Amazonに「○○を読んだ人へ『狼と香辛料』をおすすめします」と言われていた。
しかし、表紙からして獣耳だし、個人的には人外に手を出してはならんという一線があって、可愛らしい表紙なんだけどずっと見ないふりをしていた。
ところが、ここ最近の読書傾向からして、救われないお話が続き弱っていたわたしは、うっかり萌え要素に逃げてしまったわけだ。

中世西欧のような世界を舞台に、行商人ロレンスと獣の耳と尻尾をもった少女ホロの珍道中。
ホロは人ならざる者だが、 お話の中に一部ホロの持つ能力が出てくるだけで、基本的には現実世界を踏襲したお話だった。ファンタジー物が若干苦手なわたしは、魔法が出てこない世界は大変過ごしやすいところだった。
ロレンスはお金に目がない行商人ではあるが、根がいい人のせいで、素直に慣れなかったり、ホロも似たもの同士で歯車がズレながらも、そんな二人はいつしか惹かれ合い・・・、読者層をよく捉えて感情移入しやすい設定だと感じた。
序盤こそ、そういう設定にあざとさを感じたのだけど、魔法など想像しにくい設定で状況をひっくり返すようなことがなく、 納得の行くストーリー運びにがっつりと心をつかまれてしまった。
設定上、二人にはどうしても超えられない壁があった。しかし、登場人物たち自らその壁に向き合い、納得した上でその壁と付き合っていく様子が丁寧に描かれており、救いがない流れながらも読者を納得させられたのではないかと思う(それまでに読んだ作品により受けたダメージのせいもあるかもしれないが)。
作品世界から離れた今でも、二人ならその壁を乗り越えていけると信じることができる。抱いていた心配も登場人物たちに「ほら、わたしたちは大丈夫だから」と説得されてしまった。
久々に気持ちのよい読後だった。

基本的に1冊から2冊で話がまとまるので、読み易かった。短編集のSide Colorsも、その性質を利用して、旅の途中のひとときを切り取ったものとなっている。もっと、いろいろなひとときを見てみたい。しあわせであり続ける物語。ずっとしあわせであり続けたい。

「犬神」読了

こちらも11月中に読み終わっていた本。
専門学校時代に、アフタヌーンを読んでいて、そこに掲載されていた。
阪急電車で梅田から三宮まで乗っている間に読んでいたんだけど、完結する前に就職して、本を読むタイミングがなくなり、それっきりになっていた。
図書館に愛蔵版があったので、読んでみた。

「寄生獣」にあるような、ドロドロぐちゃぐちゃでスパンスパン、きゃー、うぎゃ、ぐえぇ、という、スプラッタなお話。
人間やその他動植物を超越した存在が登場し人類と対決、というか人類をお仕置きというか、自然を汚す人間なんか要らないよねという、日本ファルコムの「ドラゴンスレイヤー6英雄伝説」みたいなテーマ。
この作品も、結局なんだかんだでいろんな人々が、自分の意志とは無関係に物事に巻き込まれてしまい、救われないという感じだった。
わたしとしては悲しい部類のお話。
登場人物達の納得具合が伝わってこないので、登場人物たちと同じように前向きになれず、読み終わった後のもったりとした暗いものが横たわり、置いて行かれた気分になってしまった。

「ジパング」読了

11月頃に読み終わっていたのだけど、書くのが遅くなってしまった。
以前から、マンガ喫茶などでちょこちょこ読んでいたのだけど、近くの図書館に揃っていることが分かって、一気に読みなおした。

「最新鋭イージス艦が太平洋戦争のど真ん中に出現したら」という設定。
映画「戦国自衛隊」みたいな、「時空を超えた、もしも」の世界を描いたもの。戦国自衛隊は見たこと無いんだけど。ドラえもんのタイムマシーンが登場する回とでも言うか。
歴史にどこまで介入するか、というタイムスリップものにありがちな課題。
結局、歪みはどうしても大きくなり、大きな変化を迎えてしまうのだけど、登場人物たちは突然元の生活から切り離され、その変化に飲まれてしまう。
もしもネタが好きな人には、楽しめるのではないかと思う。

個人的には、本人達のせいじゃないのに理不尽に巻き込まれた人たちは、元の生活に戻れるところに趣向を感じる(ハッピーエンド脳)ので、登場人物達は新しい世界に納得しているようなんだけど、なんだか心にモヤモヤが残る感想となった。